![]() 8月×〇日 雨のち晴れ 今日は、勇とカズと僕の3人で、 隣町の花火大会に行きました。 毎年行ってるカズが「場所取りは任せろ」と、 とっておきの場所に案内してくれました。 そこは徒歩でしか行けない河川敷のはしっこで、 着いた時はもう花火が上がり始めていました。 確かにあまり人もいないし、 花火が頭の真上に上がって迫力があります。 「な、すごいだろ?ありがたく思え!」と、 カズが満足そうにうなづいていました。 さぁ、いそいで三脚をセットしなくちゃ。 花火を撮るのは久しぶりです。 しかもこんなにいいポイント!嬉しいなぁ! 後ろでカメラをセッティングしていると、 「由貴!」とカズの声がしたので、 振り向いたらパシャッと音がしました。 ん?ケータイのカメラ? 「ワハハ、マヌケ顔〜!」 画面を見ながらカズが笑っています。 「撮るならちゃんと合図してよ」 「だって、人や風景ばっか撮って、 自分はひとつも写ってねーじゃん」 後で送ってやる俺様やっさし〜! そう言うと、カズは僕の顔の前で、 ふふんとピースしてみせました。 あぁ、そういう事ね。 それならそうと早く言ってよ。 やり方が荒っぽいんだ。 真っ黒な空に、キラキラの花火が、 ドン、ドン、と音を立てながら広がって、 とってもとっても綺麗です。 あまりに綺麗すぎて、いつのまにか、 僕の指はシャッターボタンから離れていて、 前の2人も空を見上げたまま、 無言になっていました。 色とりどりの光を見つめていた勇が、 小さくつぶやきました。 「今年の夏はレギュラー定着できなかったなぁ。 秋からは心機一転、頑張るぞ」 まずはコントロールつけなきゃ!と、 意気込む勇の隣で、カズもつぶやきました。 「俺らはこれからがシーズンだ。 勇の分も頑張るぜ!まかせとけ」 すると勇はアハハと笑って、 「頼むな、カズ」と言った後、 花火に向かって、いきなり大声で、 「がんばるぞー!オ―――!!」 と、雄叫びを上げました。 僕がビックリしていると、今度はカズが、 「やったるぞー!オ―――!!」 と、雄叫びを上げました。 「オォ―――!」「ワオォォ―――!!」 2人とも何かに火がついたようです(汗)。 後ろで見てた僕は少し恥ずかしかったけど、 なんだかうらやましかったです。 僕も写真を頑張ろうと思いました。 いつか2人に追いつけるといいな。 なので一緒に「追いつくぞー!オ―――!!」 と叫びました(心の中で)。 もうすぐ夏休みも終わりです。 楽しい思い出がたくさんできました。 新学期も、みんなで楽しく、 元気に過ごせますように。 おわり |